1年

ルーチンワークの様に秋葉原へ行くのもどうかと思うよ…。
でも他に差し当たってやることもないし、今日も行く。


でも僕はいいご身分だな。行きたくなくなったら行かないでいいわけだ。
彼女らは違う。
毎日、劇場に来ては、公演をこなさなくてはいけない。
たまには休みたい日もあるだろうけど。
今、彼女達は芸能界の登竜門に立っているわけだから、
僕が大学受験の時にほぼ毎日4時間勉強したのと同じ様に、
(僕は勉強した量と時間を日誌につけていて、300日間で1200時間ほどだった)
彼女達も毎日1時間半の公演と、
それに付随する様々な物事をこなさなくてはいけないのだ。
でも、それが彼女らの夢を叶えるためのことだと言われたら、
なんとなく僕にはそれが理解できる。
何かを成し遂げるには、それなりの計画性やら根気やら動機付けやらが必要で、
同時に、お金や時間や様々な資源といったものが必要なんだ。
彼女らはタダ同然で手に入るような夢を叶えたい訳じゃないことは良く分かる。
むしろ、大学受験なんてのはある程度やり方が決まってて、
そのために特別な才能もいらないことを考えれば、
彼女らの野望はまさに自分達の手が届かない未知の世界への挑戦だとも思える。
当然、大学受験の比ではないぐらい狭い門であって、成功の保証なんてまったくない。
彼女らの希望は常に挫折と隣り合わせだと思う。
僕には、そういう世界に足を踏み入れるような勇気すら持ち合わせていない。


2005年の3月3日。1年前のこの日は僕が合格通知を受けた日。
それから1年経って、経験できたことや知ることができたことがたくさんあるし、
やりたいと思ったけど、やれなかったこともたくさんあった。
まぁ、それもひっくるめて今の自分は1年前から少しだけ成長したような気がする。
いつか人間として急成長できるような時期が来るまで、
地力を蓄えておきたいと思うし、それが十分にできるのは、
あと残り3年間の大学生活の間なんじゃないかなって気がする。
2年後には就職活動真っ盛りだし、
彼女らの夢を見させてもらって楽しむだけじゃなくて、
自分で夢を創造して実現させるためにも、
もうちょっと1日を大切にしないといけないかもしれない。そんなことを考えた。