風呂

なにはともあれまずは風呂に入ることにした。露天風呂から敷地の外をのぞくと、下は奈落の底のようであった。人工の光が無い全くの暗闇でどこまでが地面でどこまでが地面じゃないのか分からないほどだった。ときたま遠くを乗用車の光りがすり抜けていった。僕は田舎に来たことを実感したが、田舎というのは僕は嫌いではない。空気は澄んでるし、雰囲気は落ち着いてるし、喧騒も無い。たまにはいいものだと思う。そんなことを考えながら僕はぬるくてどうしようもない温泉につかっていた。